2029年4月、「鎌倉女子大学」は、「鎌倉大学」(仮称)と名称変更し、男女共学大学に移行します。

 盛夏ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 平素より鎌倉女子大学の教育研究活動にご理解・ご協力・ご支援を賜りまして有難うございます。
 さて、鎌倉女子大学は、2025年度の男女共学の短期大学部初等教育学科通信教育課程(e-learning course)の設置、2026年度の教育メディアクリエーション学環の開設、2026年度の中等部・高等部の男女共学化と、将来を見据えた新しい試みを実行に移してまいりました。この度、更なる検討を重ね、いよいよ2029年4月より大学部(大学院・学部・短期大学部)も「鎌倉大学」(仮称)と名称変更し、男女共学に移行する運びとなりました。詳しい趣旨・内容につきましては、以下の文書をご参照頂ければ幸いに存じます。
 なお、2029年3月までは現在の女子大学の教育環境に変わりはないことは勿論、学祖・松本生太先生が掲げた「建学の精神」(教育の理念:感謝と奉仕に生きる人づくり/教育の目標:科学的教養の向上と優雅な性情の涵養/教育の姿勢:人・物・時を大切に/教育の方法:ぞうきんと辞書をもって学ぶ/教育の体系:知育・徳育・体育の調和)は、男女別学・共学を問わず、古今東西の変わらぬ普遍の教育原理であり、教職員一同、今後もこの精神を永遠に継承し、新しい時代を担う有為な青年を養成すべく一層精進していく所存です。
 皆様におかれましては、幾久しく変わらないご理解・ご支援のほどをお願い申し上げます。

学校法人 鎌倉女子大学
2025年8月1日




<2029年4月、「鎌倉女子大学」は、「鎌倉大学」(仮称)と名称変更し、男女共学大学に移行します。>

 日本の女子大学の設立の動機は、かつて高等教育への進学の機会が閉ざされていた女子に就学の機会を開き、その活躍の場所を広げていこうという歴史的使命に基づくものでした。
 その後、日本の基幹産業が農業から工業へ、そして商業へ、さらには情報産業へと変遷する中、女子に求められる能力もまた変化し、女子大学の使命も漸次変わっていきました。
 特に1999年の男女共同参画社会の実現に向けた基本法の制定以来、本学もまたそうした時代に対応出来る女子の能力開発の問題として女子大学の新しい役割りを捉え、1943年の創設以来培ってきた職業とライフキャリアに寄与する実学教育の伝統の下、教育研究や産学連携に尽力、同性同士で切磋琢磨する男女別学の教育の有効性に女子大学の新たな使命を見出してまいりました。
 しかし、少子化の問題が国の最重要且つ最優先課題となったことは、周知の事実です。中央教育審議会の「我が国の『知の総和』向上の未来像 ~高等教育システムの再構築~」(答申)においても、大学に多様なミッションに基づく質的転換が求められていますが、その中核に位置する最大の難問は、少子化問題です。それによれば、日本の「大学進学者数推計」は、2021年は62.7万人、35年には59.0万人、40年には46.0万人へと急速に縮小することが見込まれています。その内、女子を約半数とすると、女子の大学進学者数は、20万人台前半に落ち込むことが確実視されています。
 幸いに目下のところ、鎌倉女子大学の2025年度の収容定員充足率は、108.1%を維持し、堅調に推移していますが、全国の私立女子大学の約8割が定員割れとなっており、短期大学に至っては、2024年から27年にかけて既に50校が募集停止しています。確実に見込まれている将来の人口動態からして、この傾向がさらに加速されることは必定でしょう。男女別学による女子の能力開発の意義を認めるとしても、他者との協働や対話を通じて知識や技術の修得に努める大学の教育研究は、量的条件を無視して担保されません。言うまでもなく、これまでの入学選抜の質的水準や学友会(クラブ)の多彩な活動等も維持しなくてはなりません。
 一方、本学は、併設する幼稚部・初等部・中等部・高等部において既に男女共学に移行し、特に2029年3月には男女共学の高等部(鎌倉国際文理高等学校)が完成年次を迎えます。本学の「入学手続き者アンケート」(短期大学部を含む)によれば、「志望動機が女子大学」の回答は、直近4年間の平均で3.8%であり、高大連携して「学力の3要素」を育む一貫教育の意義を標榜する本学としては、就学を希望する男子卒業生に大学の門戸を開くこともまた、本法人の自ずからの使命と考えました。
 学校法人鎌倉女子大学は、創立85周年の春秋を重ねて、こうして2040年に向けた日本の高等教育の新しい課題に対応するため、法人傘下の大学部(大学院並びに2025年4月から通信制課程に男子を迎え入れている短期大学部初等教育学科の全日制課程を含む)も、いよいよ2029年4月、完全男女共学化を図り、男女別なく本学の「教育の理念(感謝と奉仕に生きる)」を目指し、「教育の目標(科学的教養の向上と優雅な性情の涵養)」に勤しむ前途有為な青年を養成、以って歴史と文化の国際都市鎌倉から日本及び国際社会の発展に寄与しようと、この伝統の法燈を新しい「鎌倉大学」(仮称)として継承していく時が来たと決意しました。
 これまで歩みを共にしてくださった卒業生・在学生・保護者の皆様には心からの感謝と敬意の挨拶をお送りすると共に、男女共学に新しい教育研究の可能性を見出し、少子化の大波を力強く乗り越え、時代に即応した持続可能な大学創りに挑戦していくことをお約束します。
 関係各位、また広く社会の皆様におかれましては、何卒これまで同様のご理解・ご支援をお寄せ下さいますようお願い申し上げます。

学校法人 鎌倉女子大学
2025年8月1日




<注記>
 男女共学は、2029年度以降の新入生を対象とするものであり、現在の在学生(2028年度以前に卒業見込みの学生)につきましては、変わりなく女子大学としての就学環境が継続され、卒業証書及び成績証明書等は、現在所属する鎌倉女子大学大学院・鎌倉女子大学・鎌倉女子大学短期大学部名で発行されます。2029年度以降は、新名称と現名称が併記された卒業証明書及び成績証明書等が発行される予定です。在学生の皆様には、学修機会・進路形成・学生生活にわたり、引き続き安心して勉学に励んでください。
 なお、これから2026年度に鎌倉女子大学にご入学を検討される方々の第4年次の2029年度に男子の第1期生が入学することになります。また、卒業証書は、共学化に伴う新たな大学名で発行される予定です。